Apr 21, 2011
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[東京 20日 ロイター] 3月貿易黒字が大幅に減少したことで円安がやや進んだが、国内輸出株の反応は複雑だ。夏場の電力制限の影響やサプライチェーン障害で輸出は今後も伸びない可能性が大きく、インテル<INTC.O>など好調な米企業決算による影響は一部のハイテク株などにとどまっている。
円安の要因が輸出減少とあっては素直に喜べず、株価上昇も買い戻しの域を出ていないという。円債市場でも円安は売り材料だが、景気悪化を重視すれば買い材料となり中立要因となっている。
<輸出減少による円安には反応限定的>
貿易黒字縮小に最も反応したのは外為市場だった。海外短期筋が本邦貿易黒字の大幅縮小を見込んでドルを買い進んでいたが、貿易黒字が予想以上に低下したことて、ドルはさらに買い増され、83円台までドル高・円安が進んだ。「ユーロの反発と、日本の貿易収支を受けた円売り」(みずほ証券為替アナリストの鈴木健吾氏)が出ているという。輸出が減り代金交換やヘッジ目的のドル売りが減るかもしれないとの思惑が背景だ。
3月貿易収支は予測中央値の4936億円に対し1965億円となり、黒字幅は前年比で78.9%減の大幅減となった。東日本大震災を受けた生産の停滞により、輸出は前年比2.2%減の5兆8660億円と16カ月ぶりに減少。震災によるサプライチェーンの途絶などを受けた生産の停滞で、自動車が前年比27.8%減と、2009年10月(同37.2%)以来の大幅な落ち込みとなったことが大きい。
震災前であれば円安は輸出株のポジティブ材料だったが、生産と輸出減少が予想されての円安とあっては反応も鈍くなる。日経平均はハイテクや自動車など輸出株の一角がけん引し反発しているが、円安への反応というよりも前日までの3日続落に対する買い戻しが中心だという。「インテルなど好調な米企業から直接受注するような一部の銘柄が反応しているだけで、国内の業績期待にはつながっていない」(大手証券トレーダー)。
かざか証券・市場調査部長の田部井美彦氏は「夏場の電力制限などが個別企業の業績にどの程度影響してくるのか現時点の株価には織り込んでいない。今後の決算発表で下値を探る要因になる。米企業決算が好調でも今年は素直に喜べない」と述べている。
<4月は貿易赤字の可能性も>
4月の貿易統計はさらに悪化する可能性がある。輸出に回す在庫が切れるのではないかとみられているためだ。早期の生産回復がない限り「品切れ」による輸出減少は避けられない。生産を再開する企業も徐々に増えてきているが、2─3万点の部品が必要な自動車などは依然として厳しい状態だ。
日本貿易会の槍田松瑩会長(三井物産<8031.T>会長)は20日の定例会見で、3月貿易統計速報で東日本大震災の影響により輸出が16カ月ぶりに減少に転じたことについて「急速な落ち込みは過去に例がないほど。4月は多分もっとすごいと思う」と述べ、4月は実質的な影響が膨らむとの見方を示した。
市場では「自動車や電機など幅広い分野での落ち込みがみられ、東日本大震災の影響が表れたとみている。一方、原油価格の上昇などを背景に輸入が増加しており、貿易収支としては悪化傾向にある。今後も震災の影響から輸出が減少する一方で輸入は増加傾向をたどるとみられ、貿易収支は赤字に落ち込む可能性があるとみている」(コスモ証券投資情報部担当課長の田口はるみ氏)との見方が出ている。
大幅な資本収支の黒字があるため貿易収支が赤字になっても経常収支としては黒字が維持され、日本に流入するマネーの状況に大きな変化はないとみられているが、震災後の国内マーケットは依然神経質であることから、波乱を警戒する声もある。
<貿易黒字縮小、円債市場では中立要因>
円債市場でも貿易黒字縮小は中立要因となっている。みずほインベスターズ証券のチーフマーケットエコノミスト、落合昂二氏は「為替相場には黒字幅が市場予想を下回ったことで円安にじわり向かうだろう。株式相場には輸出減少はマイナスだが、円安基調となれば相殺されるため、あまり影響は出ない。円債への影響は円安で売り材料だが、景気悪化を重視すれば買い材料となり、ニュートラルだ」と話した。
午前の市場では国債先物が小反落。店頭超長期ゾーンであすの20年国債入札をにらんだ調整売りがでたため、イールドカーブにはスティープニング圧力がかかった。
国内証券の関係者は「外部環境が株高に振れるなどしており、ひとまずの調整売りが優勢になった」と話した。別の国内証券の関係者は「スピード調整。20年利付国債入札に向けた業者の持ち高調整の売りも想定されている」と指摘した。
(ロイターニュース 金融マーケットチーム;編集 佐々木美和)
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